人工知能学会 第64回 人工知能基本問題研究会 (SIG-FPAI)

主査  有村 博紀
幹事  佐藤 健、山本 章博、赤石 美奈、喜田 拓也、坂本 比呂志、村上 知子
担当幹事 村上 知子

●開催日:10月30日(月)、31日(火)
●会場:大阪大学 中之島センター
       (http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/index.html(アクセスマップ))
●テーマ:「ベイジアンネット」、「ヒューマンモデリング」及び一般
●備考その1:IBIS2006(http://ibis2006.bayesnet.org/)との連続開催
●備考その2:AIセミナー(http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai/seminar/53.html)

●テーマ趣旨:
情報システムやインターネットの普及により、AIはより日常生活の身近なものに
なりました。AI技術の応用も、従来の故障診断などに見られる機械を対象とした
ものから、より複雑な人間へと対象が移りつつあります。機械の動作をモデル化
する場合には物理モデルが指針として存在しますが、複雑な人間の嗜好や行動を
分析する際にはその拠り所がなく、人間の本質的な機能をシステムの一部として
計算機上に表現する「ヒューマンモデリング」が重要なポイントになります。エ
キスパートシステム全盛の時代から、ヒューマンモデリングはAIの基本的なテー
マのひとつであり、AIの根幹となるメカニズムを一般的に解くための理論的アプ
ローチと不確実な人間をモデル化するための深い洞察が必要です。

今回は、情報論的学習理論ワークショップ(IBIS2006)との連続開催により、人工
知能学会基本問題研究会の特集として議論を行います。大量の統計データの中の
確率的知識の扱い、利用者の嗜好や行動のモデル化、顧客分析などにおける人工
知能技術としての応用研究など、確率的情報処理・ベイジアンネットに直接関わ
るものから、将来の応用へつなぐための基礎的な人工知能研究の発表を、広く募
集します。

●招待講演その1
 「Artificial Intelligence and Neural Networks
         - The Legacy of Alan Turing and John von Neumann - 」
  Dr. Heinz Meuhlenbein(Fraunhofer Institut Autonomous intelligent Systems)
 概要:「The work of Alan Turing and John von Neumann on machine 
 intelligence and artificial automata is reviewed. Turing’s proposal to 
 create a child machine with the ability to learn is discussed. Von 
 Neumann’s had doubts that with teacher based learning it will be 
 possible to create artificial intelligence. He concentrated his research 
 on the issue of complication, probabilistic logic, and self-reproducing 
 automata. The problem of creating artificial intelligence is far from 
 being solved. In the last sections of the paper I review the state of 
 the art in probabilistic logic, complexity research, and transfer 
 learning. These topics have been identified as essential components of 
 artificial intelligence by Turing and von Neumann.」

●招待講演その2
 「情報統計力学の深化と展開〜情報学でも“More is different”!〜」
  樺島祥介先生(東京工業大学)
 概要:「More is different(量が増えれば質が変わる)」とは,対象を細かく
 分解して調べる要素還元論的方法による物事の理解には限界がある,という趣旨
 を表す際にモノの科学で用いられる標語です.ミクロな要素の基礎法則が与えら
 れたとしても,それらが沢山集まってできるマクロな集合体の振る舞いは簡単に
 はわからない.自然の多様性を理解するには,第一に“沢山あること”への着眼が
 大切であり基礎法則の解明に加えてミクロとマクロを橋渡しする統計力学的なも
 のの見方が不可欠になる.自然科学におけるこのような視点を情報学にも導入し
 ようとする試みが最近盛んになりつつあります.本講演では,簡単な例を交えな
 がら情報学において“沢山あること”を意識することで見えてくる不思議さや面白
 さについてお話します.」

●参加費:無料。ただし資料が必要な方は資料代(約\1,500円/冊)が別途かかります。

●事前登録:不要。直接来場され、受付でご登録ください。

●ご参考: 大阪大学中之島センター最寄宿泊施設
  - リーガロイアルホテル(徒歩3-4分) シングル 7,900円-、ダブル 15,400円- (朝食別)
  - リーガグランドホテル(徒歩7分) シングル 7,300円-、ダブル 9,000円- (朝食別)
  - リーガ中之島イン(徒歩10分) シングル 7,665円-、ダブル 9,976円- (朝食別)
  - スーパーホテル 梅田・肥後橋(徒歩10-12分)

●問い合わせ先:村上知子((株)東芝研究開発センター)
    E-mail: tomoko.murakami@toshiba.co.jp

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★プログラム
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10月30日(月)

●受付開始(12:45-閉会)

●開会(13:10-13:15)

●session1(25分×3件,13:15-14:30):構造学習、グラフ表現、因果

○「マルコフネットワークとベイジアンネットワーク」
  鈴木譲(大阪大学)

○「On Cellular Bioinformatics as a Potential Application of the
    Extended Bayesian Networks Theory: Logical Description and Nonmonotonic
    Reasoning of Signaling Pathways of Cells」
  Jian-Qin LIU(National Institute of Information and Communications
  Technology (NICT), Kobe Advanced ICT Research Center (KARC))

○「因果的差分検出手法の振舞いの検証」
  村上知子(株式会社東芝)


●session2(25分×2件,14:40-15:30):診断モデル

○「複写機の障害診断における確率推論アルゴリズムの実験評価」
  山田紀一、足立康二(富士ゼロックス)、本村陽一(産総研)

○「ダイナミックベイジアンネットワークを用いた麻酔行為の表現
  白鳥成彦、奥出直人(慶應義塾大学 政策・メディア研究科)


●session3(25分×3件,15:40-16:55):嗜好学習とマーケティング応用

○「ベイズネット分類器による重要文書推定における構造学習の効果」
  磯崎隆司(富士ゼロックス(株)研究本部)

○「携帯電話ユーザのための映画嗜好モデル構築と映画推薦システム」
  小野智弘(株式会社KDDI研究所)、黒川茂莉(慶應義塾大学)、本村陽一、
  麻生英樹(産総研)

○「ベイジアンネットワークを用いた消費者の金融商品選択モデル」
  田中隆博、金子泰敏、末吉英範、瀧川孝幸(株式会社 野村総合研究所)、
  本村 陽一(産総研)


●パネル討論(17:05-18:15):「因果のモデリングへの期待」

司会:本村陽一氏
パネリスト:植野先生(電通大)、黒木先生(阪大)、鈴木先生(阪大)

 - 因果モデル構築のためのソフトウェア「Bayesian Discovery」の紹介(植野先生)
 - (仮題)「因果の発見と検証に関して」(黒木先生)
 - 実務家からの質問・要望

●招待講演その1(18:20-19:00):
 「Artificial Intelligence and Neural Networks
         - The Legacy of Alan Turing and John von Neumann - 」
  Dr. Heinz Meuhlenbein(Fraunhofer Institut Autonomous intelligent Systems)

●懇親会(19:10-21:10)


11月1日(火)

●session4(25分×2件,9:55-10:45):一般

○「局所モデリングと時区間論理を用いた時系列データマイニング」
  金城敬太 古川康一(慶応義塾大学大学院政策メディア研究科)

○「Hierarchies of Consistent Learning with Delay」
  Akama, Yohji(Mathematical Institute, Tohoku University)

●招待講演その2(11:00-12:00):
 「情報統計力学の深化と展開〜情報学でも“More is different”!〜」
  樺島祥介先生(東京工業大学)

●閉会&IBISへの誘導(12:00-12:10)