人工知能学会 第104回人工知能基本問題研究会(SIG-FPAI)
※ 第104回研究会は人工知能学会および基盤(S)離散構造処理系プロジェクトとの共同主催です.

主査 河原吉伸
幹事 瀧川一学,石畠正和,西郷浩人,宋剛秀,戸田貴之
担当幹事 石畠正和

■ 開催日:2017年8月8日(火),9日(水)

■ 会場:小樽市公会堂
〒047-0024 小樽市花園5丁目2番1号
1号会議室
地図

■ テーマ:特集「人と接する人工知能技術」および一般

■ 開催趣旨
深層学習(Deep Learning)の流行に伴い,「人工知能」は,ありとあら
ゆる分野で注目を集めるキーワードとなっている.しかし,この急速な
人工知能の注目に反し,具体的な人工知能技術への理解は疎かなままで
あり,人工知能は人間の脅威になるという風評もまた増えている.そこ
で今回の研究会では,そのような誤解を解くべく,医療AIやゲームAIな
ど,「人間に接する人工知能技術」に関する応用・基礎研究および未解
決問題や問題提起などの発表を募集する.そして本研究会を通して,人
工知能が人々の生活を豊かにできる可能性を議論する.また,人間に接
する人工知能技術に限らず,人工知能の基本問題に関する応用・理論に
関する研究発表も歓迎する.

■ 招待講演:
[講演1] 美添 一樹 (理化学研究所 革新知能統合研究センター)
□ 講演タイトル:近年のゲーム AI アルゴリズムの進歩について
□ 概要:深層学習とモンテカルロ木探索の組み合わせによってコンピュー タ囲碁の棋力が飛躍的に向上し、囲碁プログラム AlphaGo がトップ棋 士を上回る強さを身につけたことは記憶に新しい。 本発表では AlphaGo の要素技術を軸に、主に機械学習と探索アルゴリズムの組み合 わせに焦点を当てて、既存のアルゴリズムを振り返りつつ近年のゲーム AI 関連の話題を紹介する。将棋などの囲碁以外の二人ゲームで主流で ある探索手法、モンテカルロ木探索が備える既存の探索アルゴリズムに 対する利点、囲碁への深層学習の応用とモンテカルロ木探索との組み合 わせについて、さらに強化学習の果たした役割とその他のゲームへの応 用などについて述べる。

[講演2] 関嶋 政和 (東京工業大学 科学技術創成研究院スマート創薬研究ユニット)
□ 講演タイトル:スマート創薬がAIと共に語りたい明日
□ 概要:新しい薬を作る(創薬)ためには一般的に長い期間と膨大な費 用がかかるようになってきている。米国のデータによると、一つの薬を 上市するまでに最低10年の期間と約26億米ドルの資金が必要とされる。 従来の創薬では「コンビナトリアルケミストリー」「ハイスループット スクリーニング」のような手法が用いられ、新規化合物獲得のための期 間と費用を削減し有望な薬候補化合物を探索するために、様々なアプロー チが開発されてきた。 1960年代から科学知識を創薬の指針とする試み が行われ、現在では計算機(IT)の支援による「IT創薬」はこれらの目 的に到達するために最も効率的な手法となっている。IT創薬はポストゲ ノム時代になり、大規模なゲノム酸配列情報、タンパク質の立体構造情 報、低分子化合物の情報を用いることで標的タンパク質の同定から、ヒッ ト化合物の探索、さらにはADMET(absorption、distribution、 metabolism、excretion、toxicity)プロファイルの予測にも用いられ ている。ITによる支援を行うことで、創薬の費用は最大50%削減できる と期待されている。 このようなIT創薬では、(a)Structure-based method(SB)と(b)ligand-based method(LB)に分類される。SBは一般 的に結晶構造のような精度の高い標的タンパク質の立体構造データがあ る際に選ばれる。LBは一般的に既知のリガンドの情報に対する類似性を 基に、リガンドの活性を予測する際に用いられる。一般的にはSBにおい てはシミュレーション、LBにおいては機械学習などが用いられることが 多い。Korffらは40の標的タンパク質に対してリガンド(結合化合物) とデコイ(非結合化合物)を取りまとめたDUD(A Directory of Useful Decoys)を用いて行われた検証において,SDとLDの複数の手法において、 異なる手法は同一の標的タンパク質に対して異なる 化合物空間に含ま れる化合物をヒット化合物として 提案していることを示している。つ まり,SDやLD の特定の手法を用いてヒット化合物を探索するよりも、 複数の異なる手法で探索する方が、幅広い化合 物空間を探索してヒッ ト化合物を得ることが期待できる。しかし,SDとLDそれぞれの手法によっ て化合物候 補とされた化合物がバイオアッセイ(生物検定)され、そ れぞれの手法の改善はほとんど行われていない。そこで、IT創薬にかか わる人材育成を目的として特定非営利活動法人 並列生物情報処理イニ シアティブ(IPAB)の主催で、SBとLBの立場それぞれから参加が可能な 「コンピュータで薬のタネを創る」(第1回),「コンピュータで薬の タネを創る2」(第2回)、「コンピュータで薬のタネを創る3」(第3回) の3回のオープンな IT創薬コンテストを企画・実施した。コンテストで は化合物ライブラリーの中から,課題とした標的タンパク質の機能を強 く阻害する化合物を参加グループに予測・選択してもらい,実際にそれ らの化合物の阻害活性を評価・ランキングし,“良い”化合物を提案した チームを表彰した。 本講演では、このようなIT創薬コンテストへの取 り組みのほか、スマート創薬の実例や創薬に対して機械学習が期待され ていること、一方で簡単には解決されない問題があること、そのような 問題をどう乗り越えていくかについて考えていきたい。

■ 参加費:
当研究会の聴講は無料です.
研究会資料は発表の有無に関わらず1500円(学生会員無料)です.

■ 懇親会:
8月8日(日) に小樽駅付近で開催予定
参加を希望される方は,参加希望申込みフォームよりお申し込みください.

■ プログラム:
[ 8月8日 (13:30-17:00) ]
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セッション1 (13:30-14:30)
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量子化誤差を考慮したニューラルネットワークの学習手法
○廣瀬 一俊, 安藤 洸太, 植吉 晃大 池辺 将之, 浅井 哲也, 本村 真人, 高前田 伸也

制限付きボルツマンマシンに対する経路積分モンテカルロ法の実験的評価
○張 亨碩, 橋本朔弥, 平石 秀史, 今井 浩

Taiマッピング階層に基づく根付きラベル付き無順序木の地均し距離
○川口泰雅, 平田耕一

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招待講演1 (14:50-15:50)
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近年のゲーム AI アルゴリズムの進歩について
美添一樹

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セッション2 (16:10-16:50)
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ビット分解プロトコルに基づく文字列間の距離計算
〇中川竣太, 坂本時緒, 申吉浩, 坂本比呂志

Applying Virtual Evidence to Arithmetic Circuits of Probability Distributions
Hei Chan

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懇親会 (18:00-20:00)
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[ 8月9日(木) (9:30-12:00) ]
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招待講演2 (9:30-10:30)
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スマート創薬がAIと共に語りたい明日
関嶋 政和

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セッション3 (10:50-11:30)
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フロンティア法による強連結な部分グラフの列挙
○鈴木 浩史, 石畠 正和, 湊 真一

Associating Features by Common Space Embedding via Non-negative Tri-factorization
○Hongjie Zhai, Haraguchi Makoto

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閉会 (11:30-12:00)
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■ 照会先:石畠正和 (北海道大学/NTT)
E-mail: sig-fpai@sanken.osaka-u.ac.jp

■ 人工知能学会の研究会資料(第一種)の扱いについて(2015年度より)

2015年4月以降に人工知能学会第一種研究会に投稿された研究会資料は,
紙冊子に掲載されると同時に,学会事務局で資料ID(※1)を付与した上で
学会文献提供サイト「AI書庫」(https://jsai.ixsq.nii.ac.jp/ej/ )上のPDF
ファイルとして閲覧可能となります.

発行日(※2)から一年間は,一本あたり(非会員 600円+消費税,学会員 300
円+消費税,登録会員 0円)にて販売します.一年間の保留期間(エンバーゴ)
後は無料購読できるようになりオンライン公開されます.

なおAI書庫上のデータには,標準的な識別子(番号)は付与されませんが,
一般的な検索エンジンや国立情報学研究所が提供するCiNiiなどから容易に
検索できるようになります.

(※1)研究会資料ID付与規則の変更(2015年度より)

 研究会資料ID(論文ID)の付与ルールを下記のように統一しました.
  資料ID: [研究会名略称]-[巻(3桁)]-[号(2桁)] 例:SIG-SWO-021-03
  巻: 研究会の通算の開催回数 例:21
  号: 特定の回での論文の発表順 例:3
  頁: 研究会毎に以下の何れかのポリシーで付与する.
 A) 各回でページナンバリングしている場合は,そのページ情報を使用
 B) そうでない場合には,発表毎に「pp. 1-論文のページ分量」

(※2)紙媒体の奥付に記載された発行日