第47回人工知能基礎論研究会(SIG-FAI47)


日時  :2002年1月25日(金),26日(土)
場所((SIG-KBS参加者と接近戦を行う為、変更しました)
慶應義塾大学理工学部 (矢上キャンパス):厚生棟3階大会議室
(〒223-8522 横浜市港北区日吉3-14-1)
◎東急東横線 日吉駅(渋谷から急行で20分;特急は停まりません)
下車 徒歩15分 (駅前の日吉キャンパスではなく,少し渋谷方向に
歩いた矢上キャンパスです)
◎JR横須賀線 新川崎駅 タクシーで10分
◎地図:日吉駅からの地図,キャンパス内の地図は下記のWWWページを
御覧下さい. http://www.st.keio.ac.jp/campus_event/index.htm

2002年1月25日(金) 午前9時45分〜
特別セッション「予兆・チャンスの発見とその応用」

チャンス発見とは、意思決定にとって重要な事象・状況についての情報を
見出し、それをどう活かせるか理解することである。ビジネス・防災・医
療・知的生産のためのコンセプト提起などニーズは多岐にわたる. シーズ
では, データマイニング・認知科学・自然言語処理・リスクマネジメント
・マルチエージェントなど, 人工知能関連の研究が挙げられる。 2000年春
より日本を起点に地道に進められた研究活動であったが、現在では科学技
術振興事業団の支援をはじめ博報堂などからワークショップが開催され、
KESやDiscovery Scienceなどの国際会議におけるセッションあるいは主要関
連トピックに含められるなど、今後もチャンス発見に関するグローバル・シ
ンポジウムが拡大される予定である。今回は2000年11月のSIGFAI43に続き、
チャンス発見に関する発表からなる特別セッション、パネル討論の他、充実
した一般講演がある。

10:00 - 10:30
・チャンス発見プロセスの二重らせんモデルに基づくアンケート調査データの解析
大澤幸生(筑波大学, JST) 奈良由美子(大阪教育大学)
チャンス発見過程を二重らせんでモデルする考えを基に、インターネット
社会における潜在的価値観を社会調査データから理解する。
10:30 - 11:00
・実業における予兆発見 データと感性の融合
臼井優樹(日東紡/筑波大学)
服飾生地のリクエストデータからの客観的視覚情報を刺激剤とし、個人の主
観を相補的に活用して予兆発見する

11:00 - 11:30
・購買時のインタラクションからのチャンス発見
庄司裕子(東京大学/川村学園女子大学),堀浩一(東京大学)
購買(店頭での実購買・オンライン購買実験の双方)時の顧客の意思決定過程
の分析を通して、インタラクションによって探索目標や戦略が変化する場合が
あることが見出された。このような「チャンス発見的購買」の特徴について紹
介する。

11:30 - 12:00
・台風画像コレクションからの予兆発見
北本 朝展 (国立情報学研究所)
「ひまわり」衛星画像から構築した台風画像コレクションに対する
データマイニング・予兆発見への試みを紹介する。

--- 休憩(昼休み) ---


13:00-14:45 パネル討論会
「アクティブマイニング時代におけるチャンス発見の役割」
司会:大澤幸生 (筑波大学)
パネリスト:
矢田勝俊 (関西大学) ・ 庄司裕子 (川村女子大学) ・ 鎌田真由美(日本IBM) ・ 河合深雪 (金融エンジニアリンググループ)
概要:
データマイニングを入力がデータ、出力をパターンとするコンピュータ
システムではなく、人を含んで環境との相互作用を取り入れたシステムに拡
張することは、知識発見の現場において強い需要となっている。その問題を
直撃する「アクティブマイニング」が、わが国の公的プロジェクトとして開
始した。一方、昨年から研究が開始されたチャンス発見研究は、科学技術振
興事業団ほかデータのうち有益な部分を発見して意思決定に活かしたい企業
の協力のもとに発展することができた。
コンピュータと人を両輪とする点で、アクティブマイニングとチャンス発
見は共通している。前輪すなわちコンピュータによるデータマイニングを駆
動輪としてルール発見を主な方向とするアクティブマイニングに対し、チャ
ンス発見は決め手となる事象の発見をめざし、これまでは後輪駆動すなわち
観察や「気付き」など人の情報処理に重点をおいてその支援を行うデータマ
イニング研究と共に進んできた。まさに両者は、相互に高め合える関係にあ
るといえよう。データを用いつつ育てつつその価値を活かす意思決定が、学
術の壁を超えて実生活へ世界に先駆けて稼働するならば、その社会貢献は絶
大となろう。このような状況をふまえ、今回の「チャンス発見」特集のパネ
ル討論では、
「チャンス発見の技術から、アクティブマイニングの
社会貢献をどう支援できるか」

を議論し、チャンス発見研究からアクティブマイニングをエンパワーする
貢献の方向を捉えたい。

--- 休憩 ---


特別セッション(予兆・チャンスの発見とその応用)
15:00 - 15:30
・消費者の食品メニュー履歴データからの潜在意識発見支援
福田 寿(CRCソリューションズ)、大澤 幸生(筑波大学、JST)
消費者の潜在意識の知識発見プロセスを提案し、食品消費履歴データへの
適用によってその有効性を検証する実験を行った。

15:30 - 16:00
・頻出アイテムと希少アイテム間のコレレーションルールから のチャンス発見
松村真宏*1,3、大澤幸生*1,2、石塚満*3 (*1 科学技術振興事業団 PRESTO, *2 筑波大学,*3 東京大学)
頻出アイテムと希少アイテム間の統計的に有意な相関ルール(コ
レレーションルール)からのチャンス発見について述べる。

16:00 - 16:30
・語の活性伝播に基づく談話分析
松村真宏*1,3、大澤幸生*1,2、石塚満*3 (*1 科学技術振興事業団 PRESTO, *2 筑波大学,*3 東京大学)
参加者の記憶に強く残っている語に基づいて談話を分析する新しい試み
について述べる。

16:30 - 17:00
・新聞記事に見るチャンスの意味
吉川史子・大澤幸生(科学技術振興事業団)
chance の語が用いられた英字新聞の記事内容から、 chanceの語が指
し示す意味内容について考察する。

 


2002年1月26日(土) 午前10時00分〜午後4時05分
一般講演
10:30 - 11:00
「XはYだ。」と「XがYだ。」の意味の違いについて
中村 洋
助詞「は」と「が」の違いを、疑問分の構造、平叙文が表す命題の重要性
条件と言う新しい観点から分析する。

11:00 - 11:30
・単純決定性言語の質問による学習における仮説文法の既約化について
但馬康宏(東京農工大学工学部)
拡張等価性質問を用いて,単純決定性言語を単純決定性文法により多項式時間
学習するアルゴリズムを示す

11:30 - 12:00
・論理式の置換と選言標準形への変形による論理プログラムの計算手続き
秋葉澄孝(産業技術総合研究所) 佐藤泰介(東京工業大学) 元吉文男
論理式の置き換えと等式の選言標準形への変形を組み合わせた論理プログラム
の計算手続きについて述べる.

--- 休憩(昼休み) ---

13:00 - 13:30
・Boostingを利用した帰納論理プログラミングの効率化
黒田 洋介・大原 剛三・馬場口 登・北橋 忠宏 (大阪大学)
ILPにおいて,サンプル事例を繰返し学習することで精度の低下を抑えて
効率化を計る手法を提案する.

13:30 - 14:00
・帰納論理プログラムにおける属性の統計的情報の可視化に関する一考察
向川 慎治, 大原 剛三, 馬場口 登, 北橋 忠宏(大阪大学)


特別セッション(予兆・チャンス発見とその応用)
14:00 - 14:30
・時間情報を考慮したWebからの注目キーワードの抽出による 創造活動支援
砂山渡,谷内田正彦(大阪大学)
ユーザの検索語と強く関わる最新のキーワードをユーザに提示し,
人間の発想に基づく創造活動を支援する.

14:30 - 15:00
・ネット情報を使った意思決定過程の数理モデル(その3)
藤本 和則 (フジモト・リサーチパーク 人工知能研究所)
本稿では、ネット情報を使って意思決定する過程の数理モデルについて、
その可獲得性(ネットから獲得した知識で適切に意思決定できるかどうか)を
中心に論じる。

15:00 - 15:30
・電子掲示板における会話からのハイライト部分の抽出
松尾 豊(JST、東大)、大澤 幸生(JST、筑波大)、石塚 満(東大)
電子掲示板で盛り上がっている内容の理解を助けるために、要約
における重要文抽出の手法を用いる。

15:30 - 16:00
・Small Worldのさまざまな拡張についての考察
松尾 豊(JST、東大)、大澤 幸生(JST、筑波大)、石塚 満(東大)
一般的なSmall Worldは重みなし方向なしグラフであるが、本稿では、リンク
に距離や方向を付与した場合、リンクの種類を増やした場合などさまざまな
拡張を試みる。

16:00 - 16:30
・「ことば」ネットワーク構造の可視化による商品選択支援
森幹彦(東京大学), 庄司裕子(東京大学/川村学園女子大学),堀浩一(東京大学)
オンラインショッピングの商品に対するコメントから商品の概念構造を 可視化する手法を提案する。