第39回人工知能基礎論研究会(SIG-FAI)
今回の小特集テーマは「メディアと人工知能」でした。記号をこえて画像や音声などを含むメディア
で表現された知識の理解、検索、推論、獲得に関する研究の発表と活発な討論が行なわれました。
招待講演として横井俊夫氏(東京工科大学)と上田博唯氏(日立電子) をお招きし、新しいメディア
学の構築の提案や画像処理の実際の応用の話しなど、メディアと人工知能について幅広く発表や
討論が行なわれました。また今回は多数の発表申し込みを頂き、特集題目7件、一般題目17件と
合わせて合計22件の発表となりました。一般題目では、学習関係(特に帰納論理プログラミング)
の発表やエージェントに関する発表もあり、これも活発な議論が行なわれました。参加者も50名以
という盛況となり、人工知能基礎に関する研究の継続の重要性をあらためて認識する結果となり
ました。
 

I.概要

テーマ :小特集「メディアと人工知能」及び一般演題 +

     招待講演:横井 俊夫氏(東京工科大学),上田 博唯氏(日立電子)

日時  :1999年11月25日(木),26日(金)

場所  :東京電機大学理工学部(鳩山キャンパス) 本館棟プレゼンテーションホール

担当  :榊原康文(担当幹事) E-mail: yasu@j.dendai.ac.jp

II.プログラム

【11月25日(木)】
一般演題
 1.13:30−13:55
  論文題目:グラフ色塗り問題の制約構造に基づく探索効率の解析
       ○林元充輝,水野一徳,西原清一(筑波大学)
   概要 :本稿では,グラフ色塗り問題における個々の問題の特徴を分類する.
       さらにこれらに基づいて解探索の効率を解析することにより,制約
       充足問題の相転移現象について考察する.
 2.13:55−14:20
  論文題目:乱数列の予測可能性と公開鍵暗号の安全性
       ○小柴健史(通信・放送機構),榊原康文(東京電機大学)
   概要 :公開鍵暗号の暗号化の際に利用される乱数列の予測可能性と暗号の
       安全性の関係について論じる.
 3.14:20−14:45
  論文題目:確率付文脈自由文法のRNA二次構造予測への応用
       ○川村亮彦,新田克己(東京工業大学),浅井潔(電子技術総合研究所)
   概要 :確率付文脈自由文法を用いて,RNAの二次構造予測を行った.
 4.14:45−15:10
  論文題目:増大形探索による文例からの文脈自由文法の合成
       ○中村克彦,石渡崇志(東京電機大学)
   概要 :iterative deepening 探索および increment 探索を採用した文例
       からの文脈自由文法合成システムについて報告する.
休憩15分 
 5.15:25−15:50
  論文題目:エージェント間交渉におけるグループ編成の学習
       ○増塩智宏,安村禎明,新田克己(東京工業大学)
   概要 :多数のエージェントが参加する交渉において,エージェントが学習
       することで最適なグループを形成する.
 6.15:50−16:15
  論文題目:ゲーム理論に基づく交渉支援システムのエージェント化
       ○佐藤陽一,安村禎明,新田克己(東京工業大学)
   概要 :ゲーム理論に基づき,ユーザーに代わって自律的に交渉を行うエー
       ジェントを開発した.
 7.16:15−16:40
  論文題目:交差検証誤差最小化による重要重みの発見
       ○斉藤和巳,中野良平(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
   概要 :各重み毎の自乗ペナルティ係数を学習することにより,法則発見
       問題で重要重みが発見できることを示す.
休憩15分 
 8.16:55−17:20
  論文題目:テキストのレイアウトに着目した知識獲得
       〜テキストマイニングとの比較を中心に〜
       ○賀沢秀人,藤本和則(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
   概要 :テキストのレイアウトに着目し依存関係を獲得する方法について,
       テキストマイニングとの比較を中心に論ずる.
 9.17:20−17:45
  論文題目:多頻度パターン抽出方法の有機塩素化合物への適用
       ○猪口明博,鷲尾隆,元田浩(大阪大学)
   概要 :大量のグラフ構造データから頻繁に出現するグラフパターンを抽出
       する手法の提案し,その応用例を示す.
10.17:45−18:10
  論文題目:環境変化に追従するための Ripple Down Rules 法の拡張に
       関する実験的考察
       ○和田卓也,堀内匡,元田浩,鷲尾隆(大阪大学)
   概要 :知識獲得のためのRipple Down Rules 法を問題環境が変化する場合
       にも適用するための方法を提案し,その有効性を調べる.
 

【11月26日(金)】
一般演題
11.10:00−10:25
  論文題目:制御付き離散事象システムの学習について
       ○石田信行,小林聡(東京電機大学)
   概要 :制御付き離散事象システムの学習問題に対するいくつかの考察を行う.
12.10:25−10:50
  論文題目:アラーム伝播のモデル化についての検討
       ○橋本和夫,松本一則((株) KDD研究所),白鳥則郎(東北大学)
   概要 :ネットワークのアラーム伝播のモデル化について,二通りのモデル化
       手法を提案し,両者の比較検討を行う.
小特集「メディアと人工知能」
13.10:50−11:15
  論文題目:交渉における生理情報の分析
       ○湯浅将英,安村禎明,新田克己 (東京工業大学)
   概要 :交渉に利用するため,交渉における画像,音声,脈拍数,発汗量など
       の生理情報を分析する.
休憩15分 
14.11:30−12:30
  招待講演:メディアの科学と知能の科学
       ○横井俊夫 (東京工科大学)
   概要 :メディアは知能を外在化し,頭脳を外へと拡張する.メディアの
       科学と知能の科学(AI)の密接な連携の重要性を説く.
昼食休憩60分
15.13:30−13:55
  論文題目:カンバセーションアウェアネス支援:
       対話状況の視覚化による新たなコミュニケーションツールの提案
       ○伊藤禎宣,國藤進(北陸先端科学技術大学院大学)
   概要 :電子会議における対話状況の視覚化環境を随時提供することでアウェ
       アネス情報の欠落を補うツールを提案する.
16.13:55−14:20
  論文題目:図的入力と空間構造分析による遠隔ブレインストーミング支援
       システムの構築
       ○近藤真己,國藤進 (北陸先端科学技術大学院大学)
   概要 :アイデアの空間配置と空間構造分析を用いた発散的思考支援システム
       の構築法について報告する.
17.14:20−14:45
  論文題目:実体認識とメディア表現
       ○北橋忠宏,明偉,広瀬克昌,銭敏娟,馬場口登(大阪大学)
   概要 :パターン認識の未来形としての外界の実体認識とこれに基づく
       メディアによる表現,その文書処理への応用.
18.14:45−15:10
  論文題目:画像照合アルゴリズムの構築
       ○小林豊之,榊原康文(東京電機大学),谷内孝行(大倉電気(株))
   概要 :検索方法として,画像情報を周波数情報に変換して劣化した周波数
       情報を吟味することにより高精度な検索システムの実現を目指す.
休憩15分 
19.15:25−16:25
  招待講演:映像メディアにおける知的処理
       ○上田博唯 (日立電子)
休憩15分 
一般演題
20.16:40−17:05
  論文題目:機械における部品交換ナビゲーションシステム
       ○井宮大輔(大阪大学),淡誠一郎(大阪学院大学),
       馬場口登,北橋忠宏(大阪大学)
   概要 :提案するシステムは,交換すべき部品に至る最適な分解・組み立ての
       手順を教示する.
21.17:05−17:30
  論文題目:仮説探索における予測評価値を利用したILPの効率化
       ○大原剛三,馬場口登,北橋忠宏 (大阪大学)
   概要 :探索木の枝刈りに用いられる予測評価値を利用して帰納論理プログラ
       ミング(ILP)の仮説探索を効率化する.
22.17:30−17:55
  論文題目:帰納論理プログラミングにおける抽象化の有効性に関する一考察
       ○大久保好章,原口誠,鄭艶芳 (北海道大学)
   概要 :本研究では,帰納論理プログラミングの効率化の観点から,抽象化の
       有効性について考察する.

懇親会(18時半頃より大学キャンパス内職員食堂にて)


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