第38回人工知能基礎論研究会(SIG-FAI)&第45回知識ベースシステム研究会(SIG-KBS)
今回は「知識発見」を小特集としKBS研究会との合同研究会として,支笏湖畔の休暇村に泊まり込みで3日間の予
定を組みました.招待講演を含め19件の発表があり,参加者数も30名ほどになりました.3日間というゆとりある日
程のため1件の発表を45分間取ることができ,非常に詳細で内容の濃い議論ができたと思います.医療データの
知識発見セッションでは,共通データに関し種々の手法を用いた多角度的なベンチマークの解析報告,及びそれに
関する活発な討論が行われました。また,島根医科大学の津本周作先生からヨーロッパを中心とするPKDD'99国
際会議の会議報告と今後の知識発見研究の展望について報告がありました.更に,招待講演では北海道大学の
山本強先生から文字を媒体中心としたこれからのメディアの可能性とその実践に関して,現実の経験と実績を踏ま
えた具体的な紹介がなされました.最後まで熱心な討論があり,研究会の雰囲気を十分楽しむことができたと思い
ます.今回のローカルアレンジに惜しみない努力をいただいた北海道大学の山本章博先生をはじめ,参加者全員
に感謝の意を表したいと思います.

I.概要

テーマ :小特集「知識発見」及び一般演題 +

       招待講演:山本 強 (北海道大学)

日時  :1999年9月29日(水),30日(木),10月1日(金)

場所  :北海道 休暇村 支笏湖 (会議室)

担当  :鷲尾 隆(担当幹事) E-mail: washio@sanken.osaka-u.ac.jp

II.プログラム

【9月29日(水)】

医療データ知識発見セッション

1.13:00〜13:45
「多戦略学習を用いた医療データからの知識発見」
○市瀬 龍太郎,沼尾 正行(東京工業大学情報理工学研究科)
概要:医療のデータから,多戦略学習を用いて一階述語レベルの知識発見を行なう手法に関して報告する.

 2. 13:45〜14:30
 「CAMLETによる膠原病データベースからの知識発見」
 ○根岸 直矢, 酢山 明弘, 山口 高平( 静岡大学大学院理工学研究科)
 概要:帰納アプリケーションを自動合成する環境CAMLETを膠原病データベースに適用した結果, 得られた
          ルールに対する分析・評価を報告する.

 3. 14:30〜15:15
 「KDD プロセスモデルに基づく膠原病データの解析」
 中本和岐、吉田美江子、○鈴木英之進(横浜国立大学工学部電子情報工学科)
 概要:Fayyad のデータベースからの知識発見プロセスモデルに基づき,膠原病データを解析する.
                 
 4. 15:15〜16:00
  「バスケット分析のための構造化データにおける数値属性離散化」
 ○塚田誠,猪口明博,鷲尾隆,元田浩(大阪大学産業科学研究所)
 概要:数値属性を含む構造化データにおける,目的量を設定しない,バスケット分析のための離散化手法
          を提案する.
                 
 休憩(15分)

 ベンチマーク(医療データ)パネルセッション

  5. 16:15〜17:30
 「医療データ知識発見の評価と展望」
 津本周作(島根医科大学医学部医学科医療情報学)及び医療データ知識発見セッション参加者
 

【9月30日(木)】

データサーチセッション

 6.  9:00- 9:45
「参照の共起性に基づくサーチエンジンの特徴発見」
◯村田 剛志(群馬大学工学部情報工学科)
概要:Webページ中のハイパーリンクの共起性を基に,サーチエンジンの収録内容の特徴について
        分析する.
                 
7.  9:45-10:30
「メタ検索システム構築のためのデータの構造化に関する研究」
○川前徳章,青木輝勝,安田浩(東京大学
概要:検索エンジン,各種データベースを統合したメタ検索システム構築の為,ログ,URLの構造化に
        関する検討を行う.

休憩(15分)

会議報告セッション

 8.10:45-12:00
 「PKDD(3rdEuropean Conference on Principles and Practice of
   Knowledge Discovery in Databases) 及びそのDiscovery Challenge」
○津本周作(島根医科大学医学部医学科医療情報学)

昼食(60分)

知識発見セッション

9.13:00-13:45
「構文解析木からの知識発見」
○雄山真弓、岡田孝(関西学院大学情報メディア教育センター)
概要:構文解析木を対象とする知識発見の手法を紹介,これを使った構文解析木のデータマイニング
        の方向を探る.

10.13:45-14:30
「化学構造のデータマイニング」
○岡田孝(関西学院大学情報メディア教育センター)
概要:化学構造から生理活性を推測する問題に関し,その現状と新しい試みについて報告する.
                 
11.14:30-15:15
「決定木と遺伝的プログラミングの組み合わせによる知識構造発見手法」
○新美礼彦,田崎栄一郎(桐蔭横浜大学工学部制御システム工学科)
概要:決定木生成により知識構造をし,遺伝的プログラミングを組み合わせることにより知識発見を
        強化する.

休憩(15分)

12.15:30-16:15
「多層神経回路網の高速で収束的な確率的学習アルゴリズム」
◯櫻井彰人 (北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科)
概要:線型閾値素子多層神経回路網の確率的学習算法を提案する.理論的に確率1で収束し実際
        にも高速である.

13.16:15-17:30
「ネットワーク上の重みとしての構造抽出」
○沼尾正行(東京工業大学 情報理工学研究科)
概要:構造記述に記号や述語論理を用いると曖昧さが表しにくい.重みつき述語ネットワークにより
        それを克服する.

14.17:30-18:15
「C4.5 を用いたイントラネットのアクセスログ解析実験」
○齋藤 功,五十嵐 創(慶応義塾大学 環境情報学部),
   嶋津 恵子(慶応義塾大学 大学院 政策・メディア研究科)
概要:コンテンツの品質向上を目指したルール獲得のためのWebのアクセスログをC4.5を用いて分析
        した実験報告を行う.
 

【10月1日(金)】

ILP及び事例ベースセッション

15. 9:00- 9:45
「Progolの関係データベースとの連結と探索アルゴリズムの改良」
○尾崎知伸,古川康一 (慶応義塾大学 大学院 政策・メディア研究科)
概要:関係データベースとの連結を前提に,多クラスの分類問題に対してProgolの探索アルゴリズムを
        改良する。

16 9:45-10:30
「Relevant Hypotheses as a Generalization of the Bottom Method」
 Bertram Fronhoefer (TU Muenchen),
○山本 章博(北海道大学知識メディアラボラトリー)
概要:ILPの基本概念である底節と最弱仮説の違いを, 連結証明法とRelevant Logicを用いて分析する.
                 
休憩(15分)

17.10:45-11:30
「正例間の類似性に基づく負例の生成手法」
◯森中  雄 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科),
大原 剛三,馬場口 登,北橋 忠宏 (大阪大学 産業科学研究所)
概要:データベースにILPを適用する際,仮説の評価に必要な負例が存在しないという問題の解決手法を
        提案する.

18.11:30-12:15
「クリティカルな事例ベースの近似構築」
○佐藤 健, 中川竜一(北海道大学大学院工学研究科)
概要:未知の論理関数の表現のための最小限の事例ベースの近似構築手法および理論的解析について
        述べる.

昼食(60分)

招待講演

19.13:15-14:30
「文字からつくるマルチメディア」
○山本強先生(北海道大学)
概要:本講演では,文字データ配信において,データから構造を抽出してそれを解りやすく表示する技術
        について紹介する.


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