第37回人工知能基礎論研究会(SIG-FAI)
今回は「発見科学」を小特集テーマに取り上げました.3日間のプログラムを組みましたが,場所が沖縄ということも
あってか,1件の発表時間を十分とることができないほど多数の応募(発表件数39件)があり,参加者数も80名を
越え非常に盛況でした.招待講演ではジー・アンド・ジーファルマ株式会社代表取締役社長の宮崎平氏を招き,氏
のデータマイニングにかける夢を「事業性とデータマイニング」と題して話して頂きました.最後まで熱心な討論があり,
研究会の雰囲気を十分楽しむことができました.参加者全員に感謝の意を表したいと思います.

I.概要

テーマ :小特集「発見科学」及び一般演題 +

     招待講演:宮崎 平 (ジー・アンド・ジーファルマ株式会社代表取締役社長)

日時  :1999年7月7日(水),8日(木),9日(金)

場所  :沖縄コンベンションセンター(中会議室,小会議室)

担当  :元田 浩(担当主査) E-mail: motoda@sanken.osaka-u.ac.jp

II.プログラム

【7月7日(水)】

1.15:30−15:55

論文題目: 仮説選択: AARに於ける仮説生成としての類似写像

○阿部 明典 ,藤本 和則 (NTT コミュニケーション科学基礎研究所)

概要:AAR での仮説生成に於ける類似写像を仮説推論の枠組で考え、写像先選定の問題を述べる。

2.15:55−16:20

論文題目:ネット記事から獲得された推論知識を扱う超空間推論法の実験と評価

○藤本 和則, 阿部 明典, 松澤 和光(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)

概要:ネット記事から獲得された推論知識を扱う超空間推論法の研究を進めている。
    本稿では、実際のネット記事を使った実験結果を中心に述べる。

3.16:20−16:45

論文題目:0n A Star Situation Calculus

○房岡 璋(立命館大学理工学部情報学科)

概要:超準解析の方法に従い、Situation Calculusの超実数の上でのモデルを与え、
    連続系に対する非単調推論について述べる。

休憩10分

4.16:45−17:10

論文題目: Hybird method for basket-marketing prediction

○ Xiaolong  Zhang, Tetsuo Narita,  Yoshio  Mizuhiki (IBM Japan.)

概要:A hybird prediction approach to retail sales data is presented. By combining both statistics and
    neural methods, target variables are effectly predicted, Created models can be used to predict
    the futuredata.

5.17:10−17:35

論文題目: Graph-Based Induction の一般グラフへの拡張と World Wide Web データへの適用

○松田 喬,堀内 匡,元田 浩,鷲尾 隆(大阪大学産業科学研究所),熊澤公平,荒井尚英((株)リクルート)

概要:有向グラフ中の類型パターンを抽出するGraph-Based Inductionを木構造データのみでなく一般グラフに
    適用できるように拡張し,World Wide Webデータへの応用を試みる.

6.17:35−18:00

論文題目:参照の共起性に基づく発見手法

◯村田 剛志(群馬大学)

概要:サーチエンジンにおける参照の共起性に基づいてWebページ集合の関連性を発見する手法について述べる。

7:18:00−18:25

論文題目:Support Vector Machineによる物体認識のための標準形変換

○菅谷 信介,鈴木 英之進(横浜国立大学工学部電子情報工学科)

概要:提案手法は、回転、移動および伸縮変換を加えた画像からの100個の物体認識問題で、97%の正答率を示した。
 

【7月8日(木)】

8.9:00−9:20

論文題目:帰納論理プログラミングの逆伴意の完全化とその自己再帰への適用について

○古川 康一,尾崎 知伸(慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科)

概要:逆伴意法の完全化のための最弱仮説の拡張方法を提案し、それが自己再帰にも応用可能であることを示す。

9.9:20−9:40

論文題目:正則パターンから生成される言語の帰納推論

佐藤 優子,○向内 康人(大阪府立大学総合科学部数理・情報科学科)

概要:正則パターンの有限集合の例化・汎化の関係を調べ、正則パターン言語の積和の効率的な帰納推論の問題を扱う。

10.9:40−10:00

論文題目:相対包摂汎化に関する最小汎化が存在するための条件

伊藤 公人,○山本 章博(北海道大学大学院工学研究科)

概要:相対包摂順序では最小汎化は必ずしも存在しないため、それが存在するための条件を議論する。

11.10:00−10:20

論文題目:アブダクションを使った帰納的学習について

○坂間 千秋(和歌山大学)

概要:ホーン節集合で与えられた知識ベースにおいて、一般規則をアブダクティブに学習する方式について述べる。

12.10:20−10:40

論文題目:新仮説の発見を含むアブダクティブ論理プログラムの学習

○井上 克已,羽根田 博正 (神戸大)

概要:非単調論理プログラムを学習し、新仮説を発見し、アブダクティブ論理プログラムも学習できる方式を示す。

休憩10分

13.10:50−11:10

論文題目:帰納や分類のための適切な抽象化

○工藤 嘉晃,原口 誠(北海道大学大学院工学研究科電子情報工学専攻)

概要:帰納推論やデータマイニングの高品質化のために、情報量基準を用いた抽象化選択方法を提案する。

14.11:10−11:30

論文題目:事例ベース推論におけるクリティカルな事例の発見

○佐藤 健(北海道大学大学院工学研究科)

概要:事例ベース推論による概念学習において、概念を表現するために必要最小限の事例の集合のことを,
    本研究ではクリティカルな事例の集合と呼ぶ。このクリティカルな事例集合を発見するための方法につ
    いて検討を行ったので、その結果について述べる。

15.11:30−11:50

論文題目:Tabling による記号的統計モデルの学習高速化に関する考察

○亀谷 由隆,上田 展久,佐藤 泰介(東京工業大学 大学院情報理工学研究科)

概要:論理プログラム形式で記述された特定の統計モデルに対し,tabling 探索による学習の高速化について考察する.

16.11:50−12:10

論文題目:多次元デ−タの類似検索のための次元縮小射影について

○篠原 武, 陳 健平(九州工業大学情報工学部)

概要:任意の距離空間に適応できる次元縮小法を提案し、多次元デ−タの類似検索を行う場合の有効性について論じる。

昼食70分

17.13:20−13:40

論文題目:キーワード抽出に基づく文章作成支援システム

○砂山渡,谷内田正彦(大阪大学大学院基礎工学研究科)

概要:文章を書く人の考えと,実際の文章表現との間のずれを発見し、そのずれを埋める方法を示唆する。

18.13:40−14:00

論文題目:データマイニングを用いた探索的文書ブラウジングシステム

安部 潤一郎,笠井 透,○有村 博紀,有川 節夫(九州大学大学院システム情報科学研究科)

概要:著者等によって開発された頑健かつ高速なデータマイニング手法を、探索的文書ブラウジングシステムに応用する。

19.14:00−14:20

論文題目:脳機能画像からのデータマイニングについて

○月本 洋((株)東芝)

概要:f-MRI,MEGの脳機能画像からのデータマイニングについて述べる。

20.14:20−14:40

論文題目:混合正規分布モデルを用いた粒子速度分布の構造検出

○上野 玄太,町田 忍(京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻),
  中村 永友(札幌学院大学 経済学部),樋口 知之(統計数理研究所),
  荒木 徹(京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻)

概要:衛星観測によるイオン速度分布データに混合正規分布をあてはめ、共存する複数の成分の定量化を可能にした。

21.14:40−15:00

論文題目:ウェーブレットによるオーロラ画像からの動き同定

○高野 茂,皆本 晃弥,新島 耕一(九州大学大学院システム情報科学研究科),
  Kan Liou**,C.-I. Meng**(Applied Physics Laboratory, Johns Hopkins University),
  家森 俊彦(京都大学大学院理学研究科附属地磁気世界資料解析センター),
  荒木 徹(京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻)

概要:オーロラ紫外線画像フレームに時間方向ウェーブレット変換をほどこして、オーロラの動きをとらえる。

休憩10分

22.15:10−15:30

論文題目:大規模衛星画像データに対するサイエンティフィックデータベースとデータマイニング

○本田 理恵,小西 修,菊地 時夫(高知大学),飯島 祐一(宇宙研)

概要:大規模衛星画像を対象とした科学データベースとデータマイニングシステムの研究計画を述べる。

23.15:30−15:50

論文題目:複雑な分子スペクトルの新しい解析手法の探索(2)

○田中 武彦、今城 尚志(九州大学大学院理学研究科)

概要:複雑な分子スペクトルの解析を助けるための計算機を利用する新しい手法の探索について報告する。

24.15:50−16:10

論文題目:ガソリンインジェクタのレーザ計測結果からの大規模噴霧構造の抽出

○池田 裕二(神戸大学機器分析センター)

概要:ガソリンインジェクタの噴霧構造の解明にレーザ計測を用いた。得られた結果から、噴霧径の異なる
    粒子群のクラスタ構造の抽出のための解析を行った。

25.16:10−16:30

論文題目:自動平滑化法によるGPS日データの平均的時空間構造の抽出\\

○樋口知 之 (統計数理研)

概要:自動平滑化により、GPS日データの上下変動成分中の時間・空間に強く依存した成分を合理的に除去した。

26.16:30−16:50

論文題目:仮想化された人体データからのナビゲーションに基づく知識発見 − 次元シームレスな画像観察支援ツールの開発 −
○齋藤 豊文,森 健策,鳥脇 純一郎,末永 康仁(名古屋大学)

概要:本研究では3次元CT像に代表される大規模画像を自由に観察可能なツールの開発を行う。

休憩10分

27.17:00−17:20

論文題目:質的変数で条件付けられた数法則の発見法

○中野 良平,斉藤 和巳(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)

概要:質的変数(名義尺度)で条件分けされた複数の法則をニューラルネット学習を用いて発見する方法を提案する。

28.17:20−17:40

論文題目:法則式発見のための連立方程式系の構造解析

○鷲尾 隆,元田 浩 (大阪大学)

概要:連立方程式で表される対象の数学的性質を明らかにし、その知見に基づく法則式発見手法を定式化する。

29.17:40−18:00

論文題目:ARタイプモデルからの熱力学的法則の導出

長谷川博(茨城大学理学部),○鷲尾隆(大阪大学産業科学研究所),石宮由香里(茨城大学理学部)

概要:時系列データからのARタイプモデルに、関本・佐々理論を適用し、一般化された熱力学的法則の導出する。

19:30−21:30 懇親会

【7月9日(金)】

30.9:00−9:20

論文題目:SDP緩和による二次元カテゴリー属性に対する相関ルール生成アルゴリズム

藤沢克樹(京都大学),羽室行信(大阪産大),○加藤直樹(京都大学),徳山豪(日本IBM),矢田勝俊(大阪産大)

概要:二次元カテゴリー属性に対する最適相関ルール生成のための近似アルゴリズムを提案し,実験結果を報告する。

31.9:20−9:40

論文題目:Parallel Branch-and-Bound Graph Search for Correlated Association Rules

○森下真一,中谷明弘(東京大学医科学研究所)

概要:We propose a novel parallel branch-and-bound graph search algorithm tailored to the optimization problem of
    computing the optimal association rule that maximizes the significance of the correlation between the assumption
    and the conclusion of the rule.

32.9:40−10:00

論文題目:仮説駆動型例外知識発見手法におけるスケジューリング機能

○鈴木英之進 (横浜国立大学工学部電子情報工学科)

概要:例外ルールと常識ルールの同時発見において、各種パラメータを自動調節するスケジューリング機能を説明する。

33.10:00−10:20

論文題目:帰納アプリケーション構築支援環境の構築と評価

○根岸 直矢,酢山 明弘,山口 高平(静岡大学)

概要:帰納学習プロセスを体系化し、帰納アプリケーションをメタ学習するシステムの構成と評価について述べる。

休憩10分

34.10:30−11:35

招待講演 「事業性とデータマイニング」

○宮崎 平 (ジー・アンド・ジーファルマ株式会社代表取締役社長)

概要:経営者として、何故原始明細を履歴として残すという判断をしたか。

昼食70分

35.12:45−13:05

論文題目:ビューデザイン機能をもつ発見支援システム ー データと計算機実験 ー

丸山 修(東京大学医科学研究所),内田 智之(広島市立大学情報科学部),◯宮野 悟(東京大学医科学研究所)

概要:ビューデザイン機能が知識発見における仮説生成の重要な要因であることを計算機実験により実証する。

36.13:05−13:25

論文題目:話者適応機能を用いた音素ラベリングシステム

○ 牧野 正三,前田 照彦,大河 雄一,鈴木 基之(東北大学大型計算機センター)

概要:種々の話者適応機能を用いて,発声内容を表す音素系列を入力音声の対応する
    箇所に割り当てるシステムを構築した.

37.13:25−13:45

論文題目:科学衛星巨大データセットを用いた電磁波動現象の多次元発見的解析に関する研究

笠原 禎也, ○佐藤 亨 (京都大学大学院情報学研究科通信情報システム専攻)

概要:科学衛星で観測した地球周辺電磁波現象と、地球磁気圏プラズマ環境の因果関係の推定手法について報告する。

休憩10分

38.13:55−14:20

論文題目: 企業ニーズを研究シーズに関連づける情報探索システムの試作

○奥野 弘之,堀井 洋(北陸先端科学技術大学院大学),加藤直孝(石川県工業試験場),
   敷田 幹文,國藤 進(北陸先端科学技術大学院大学)

概要:企業側のニーズを反映する研究開発シーズを行なっている研究開発機関をWeb上で情報探索する
    システムを試作したので、その設計方針と試作結果を報告する。

39.14:20−14:45

論文題目: テーブル表現を用いた文脈自由文法の帰納的学習

○榊原 康文,近藤 充弘 (東京電機大学情報科学科)

概要:構文解析表に似たテーブルを用いた表現方法を提案し、遺伝的アルゴリズムを使って文脈自由文法を
    効率良く学習した結果を報告する。


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