第36回人工知能基礎論研究会(SIG-FAI)


今回の小特集テーマは「新コンピューティングパラダイム」でした。ポスト・シリ コンコンピュータとして、分子コンピュータや量子コンピュータをはじめとする新 しい計算機の可能性の研究の発表と活発な討論が行なわれました。招待講演として 横森先生(早稲田大学)と田畑先生(大阪大学)をお招きし、特集題目3件、一般 題目11件と合わせて合計16件の発表となりました。一般題目では、学習関係の 発表が集まり、これも活発な議論が行なわれました。参加者は年度末のお忙しい中 40名以上という盛況となり、人工知能基礎に関する関心の深さ、重要性をあらた めて認識する結果となりました。

I.概要

テーマ :小特集「新コンピューティングパラダイム」及び一般演題 +

     招待講演:横森 貴氏(早稲田大学)、田畑 仁氏(大阪大学)

日時  :1999年3月25日(木)・3月26日(金)

場所  :東京電機大学理工学部(鳩山キャンパス) 本館棟第2メディア教室

担当  :榊原康文(担当幹事) E-mail: yasu@j.dendai.ac.jp

II.プログラム

【3月25日(木)】

一般演題

1.13:30−14:00

論文題目:帰納論理プログラミングを用いた文書デザイン知識の獲得

○千葉和也(富士ゼロックス(株))、大和田勇人、溝口文雄(東京理科大学)

概要:レイアウトの基本的ルールを対象とし、文書デザインの生成や評価に用いるための知識の獲得を試みた。

2.14:00−14:30

論文題目:テキスト変換システムの学習可能性

◯杉本典子、石坂裕毅(九州工業大学)

概要:本研究では,与えられた入出力文から変換規則を学習する問題を、正例からの帰納推論の枠組で考察する。

3.14:30−15:00

論文題目:単純決定性言語の質問による多項式時間学習について

○但馬康宏、富田悦次、若月光夫(電気通信大学大学院)

概要:単純決定性言語の質問による多項式時間学習を行うための、基本的な考え方、及びその十分条件を示す。

4.15:00−15:30

論文題目:クラスタ例からの学習 --- クラスタに関する属性の利用 ---

○神嶌敏弘、元吉文男(電子技術総合研究所)

概要:適切な分割を獲得するための規則を事例から学習する『クラスタ例からの学習』の手法の改良を試みる。

休憩20分

一般演題

5.15:50−16:20

論文題目:予測モデルからのルール抽出-データマイニングの必須技術-

○月本洋、森田千絵((株)東芝S&S研究所)

概要:ニューラルネットワーク、統計モデル等の予測モデルからのルール抽出がデータマイニングに必要であることを述べる。

6.16:20−16:50

論文題目:パターンの論理的推論-知識獲得問題の新解決法-

○月本洋、森田千絵((株)東芝S&S研究所)

概要:知識獲得問題を、非古典論理によるパターンの論理的推論で解決することを提唱する。

7.16:50−17:20

論文題目:遺伝子発現パターンデータからの定性ネットワークの推定

○阿久津達也、宮野悟(東京大学)、久原悟(九州大学)

概要:時系列データから遺伝子間の制御関係を定性的に表現するネットワークを推定するアルゴリズムを示す。

8.17:20−17:50

論文題目:利用者の視点に立った計算機処理記述の枠組

○古宇田フミ子、近山隆(東京大学)

概要:処理を属性の変化として形式化し、多様な視点からの記述を具体的コマンド列に変換する枠組を提案する。

懇親会(18時頃より大学キャンパス内職員食堂にて)

【3月26日(金)】

一般演題

9.10:00−10:30

論文題目:外接多面体近似法による対象領域内の中心点探索

○渡辺浩、鈴木英之進(横浜国立大学)

概要:対象領域内で半径が最大となる球の中心を、高い精度で効率的に探索するための手法を提案する。

10.10:30−11:00

論文題目:関連単語群判定を用いたWeb文書からの人物特定システム

○早川毅、鈴木英之進(横浜国立大学)

概要:人物名を検索エンジンで調べる場合に、出力されたホームページ群を人物ごとに分けるシステムを提案する。

11.11:00−11:30

論文題目:節論理に基く仮説の発見と検証

○山本章博(北海道大学)

概要:節論理に基く仮説生成システムが生成する仮説を別のシステムで検証・補完するための方式を議論する。

小特集「新コンピューティングパラダイム」

12.11:30−12:30

招待講演:脳型メモリ、超五感センサを目指した機能調和材料の創成

○田畑仁、田中秀和、川合知二(大阪大学)

概要:強誘電体や強磁性体等が持つ残留分極、非線形性、可塑性等を調和し、脳型メモリ、超五感センサを創成する。

昼食休憩60分

小特集「新コンピューティングパラダイム」

13.13:30−14:30

招待講演:分子コンピューティング:新計算パラダイムの探究と模索

横森貴(早稲田大学)

概要:分子コンピュータの実現に向けての研究開発の現状を、主に分子コンピューティングのための理論的計算モデル

   を中心に概説する。

14.14:30−15:00

論文題目:DNA計算のためのシミュレーションとGAを援用した実験条件の設定

○西川明男、萩谷昌己(東京大学大学院)、山村雅幸(東京工業大学大学院)

概要:DNA計算の6種類の実験操作の組合せに対するシミュレータとこれにGAを組合せた試みについて述べる。

15.15:00−15:30

論文題目:DNA分子を用いたホーン節の計算について

◯小林聡(東京電機大学)

概要:DNA分子によってホーン節計算を行う実験手法を提案し、その計算能力に関する考察を行う。

16.15:30−16:00

論文題目:効率的量子アルゴリズムの設計について

○西野哲朗、與語一真(電気通信大学)

概要:本論では、効率的量子アルゴリズムが設計可能と考えられている問題の候補を紹介するとともに、

   最短ベクトル探索問題に対する量子アルゴリズムの設計について考察する。


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