第33回人工知能基礎論研究会(SIG-FAI)
今回の小特集テーマは「ネットワークとAI」でした.近年,人工知能理論・技術の情報ネットワーク分野への適用研究・開発が盛んに なって参りました.この背景の下に,研究に関する交流や展望を得るべく テーマ設定を行いました.更に,ネットワークデータベース研究に関して著名であられます大阪大学塚本昌彦氏,西尾章治郎氏の招待講演も企画しました.また,一般発表4件,特集発表7件,招待講演1件,合計12件の発表となり,合計27名の参加をいただきました。今後の人工知能技術の実社会への適用の広がりを展望する,有益な研究会となりました。
I.概要
テーマ :一般演題及び小特集「ネットワークとAI」+招待講演:塚本昌彦氏,西尾章治郎氏(大阪大学)
日時 :1998年5月28日(木),29日(金)
場所 :大阪大学 産業科学研究所 〒567 大阪府茨木市美穂ヶ丘8-1 TEL(06)879-8541
担当幹事:鷲尾 隆 E-mail: washio@sanken.osaka-u.ac.jp
II.プログラム
【5月28日(木)】
一般セッション I
1.13:00〜13:40 「問題構造の可視化による概念関係の発見支援」
○土橋 喜(愛知大学現代中国学部)
概要:地球環境問題の文献から専門用語を抽出し,概念ネットワークを生成することによって,問題構造の可視化支援を目的としたシステムの開発を行っているで紹介したい.
2.13:40〜14:20 「遺伝アルゴリズムを利用したBPNモデル構造及び学習パラメタ探索」
○Jo Chul-Ho,堂下修司,李昌勲(京都大学工学研究科情報工学教室)
概要:遺伝アルゴリズムを利用して該当応用分野に最適な神経回路網の構造及び内部学習パラメタを探索し,その評価を述べる.
休憩(10分)
一般セッション II
3.14:30〜15:10 「帰納法と仮説推論」
◯中山康雄(大阪大学人間科学部)
概要:仮説推論を拡張した枠組みを定義し,帰納法の適用以上の結果が得られることを論じる.
4.15:10〜15:50 「メタファーによる記号パターン統合」
◯月本 洋( (株)東芝 S&S研究所 )
概要:イメージとその言語的側面であるメタファーに基づく記号パターン統合について述べる.
休憩(10分)
5.16:00〜17:30 <招待講演>「高度ネットワーク環境におけるマルチメディア情報ベースと知識処理技術の融合」
塚本 昌彦, 西尾 章治郎(大阪大学工学研究科)
概要:本講演では,我々の研究室で推進中のテーマを紹介しながら,モーバイル計算環境,広帯域ネットワークなどの高度なネットワーク環境において,マ ルチメディア情報ベースと知識処理技術を融合した研究の可能性について論じる.
懇親会 17:45〜
【5月29日(金)】
「ネットワークとAI」小特集セッションI
6.9:40〜10:20 「WWW上の幾何推論システム」
加藤直行(九州大学大型計算機センター),佐塚秀人(久留米工業大学、九州大学),○廣川佐千男(九州大学大型計算機センター)
概要:図を描き、その図の中の特徴的なパターンを利用することにより,初等幾何推論を行うシステムを紹介する.
7.10:20〜11:00 「アラームの伝播モデルに基づく障害診断方法」
○橋本和夫、松本一則(KDD研究所)
概要:伝送路などでの一般的なアラーム伝播モデルに基づき,伝送路の障害診断のための適切なアラーム観測時間を理論的に決定する手法を提案する.
8.11:00〜11:40 「内容における因果関係を用いた文書集合からのストーリー抽出」
○大澤幸生,村上尚央,谷内田正彦 (大阪大学大学院基礎工学研究科)
概要:ばらばらの文書の集合から,各文書内容の因果の流れを連結させることによりストーリーを取り出すシステムについて述べる.
昼食(60分)
「ネットワークとAI」小特集セッションII
9.12:40〜13:20 「Webページ検索における改善検索キー教示システム」
○砂山渡,野村勇治*,大澤幸生,谷内田正彦(大阪大学基礎工学研究科,*松下通信工業)
概要:ユーザの検索キーからユーザの興味を理解し,Webページ中の語と一致する検索キーをユーザに教示する.
10.13:20〜14:00 「バスケット分析のグラフ構造データへの拡張と通信ネットワークデータへの適用」
○猪口 明博,鷲尾 隆,元田 浩(大阪大学産業科学研究所),熊澤 公平,荒井 尚英((株)リクルート)
概要:バスケット分析について、グラフ構造データへの拡張を提案し,現実の通信のデータの傾向分析を行った結果について報告する.
休憩(10分)
「ネットワークとAI」小特集セッションIII
11.14:10〜14:50 「知識獲得のためのRipple Down Rules法に関する実験的考察」
○和田卓也,堀内 匡,元田 浩,鷲尾 隆(大阪大学産業科学研究所)
概要:知識獲得/知識ベース管理の一手法であるRipple Down Rules法に関して,学習速度の評価およびノイズ・欠損値を含むデータに対する性能などについて考察する.
12.14:50〜15:30 「合意形成支援のためのコーディネータエージェントの設計」
○武馬 慎,金子 善博,花野 真也,石田 亨(京都大学情報学研究科)
概要:電子メールで議論を行う際に,コーディネータを支援するコーディネータエージェントの設計について述べる.