第32回人工知能基礎論研究会(SIG-FAI)
I.概要
テーマ :一般演題及び小特集「学習と発見の計算理論」+招待講演:有川節夫氏(九大)
日時 :1998年3月26日(木),27日(金)
場所 :電気通信大学 西9号館3階AVホール 〒182 東京都調布市調布ケ丘1-5-1 TEL(0424)83-2161 内線3212
担当幹事:西野哲朗 E-mail: nishino@sw.cas.uec.ac.jp
II.プログラム
【3月26日(木)】
小特集「学習と発見の計算理論」セッション I
1. 10:20〜10:45 「ニューロイダルネット上における言語獲得のモデル化」
○内田 勝也, 西野 哲朗(電気通信大学)
概要:ニューロイダルネット上において、母国語獲得におけるパラメータ設定をモデル化したので報告する。
2. 10:45〜11:10 「ニューロイダルネット・シミュレータの設計と実現」
家村 博之, ○川久保 拓二, 伴野 崇, 西野 哲朗(電気通信大学)
概要: L. G. Valiant が提案したニューロイダルネットのシミュレータの実現について報告する。
3. 11:10〜11:35 「ゴールに依存した抽象化を利用した類似性駆動型の知識修正法について」
◯ 森田 展博, 原口 誠(北海道大学)
概要:オブジェクト指向言語で記述された領域知識において, ゴールに依存した抽象化(GDA)によって検出された類似関係がユーザの直観に反する場合, ユーザの意図する類似関係を反映するように領域知識を修正する新たな手法 を提案する.
4. 11:35〜12:00 「張り合わせ構造の再利用によるモード付き関数IPの自動合成について」
◯平田淳, 原口誠(北海道大学), 佐土原健(電子技術総合研究所)
概要:モード付き関数IPの論理を用いた自動合成手法の新たな可能性を追求する. その際,既存のIPの張り合わせ構造を転写することにより, 目標IPの張り合わせ構造を実現する.
昼休み(60 分)
小特集「学習と発見の計算理論」セッション II
5. 13:00〜13:25 「RNA二次構造予測支援システムの実装」
○吉沢 隆之、 チャン・ナム・トアン、 田渕 朗、 小林 聡、 横森 貴 (電気通信大学)
概要: RNA の二次構造を予測する上で、木文法を応用した構文解析法を用いて与えられたRNA配列がとり得る可能性のある構造を複数個出力することにより二次構造予測を支援するシステムを実装した。
6. 13:25〜13:50 「遺伝子制御ネットワーク解明のための学習理論」
○阿久津 達也(*)、久原 哲(#)、丸山 修(*)、宮野 悟(*) * 東京大学, # 九州大学
概要:遺伝子破壊・添加実験により遺伝子の制御ネットワークを解明しようという研究が世界中で始まりつつある。本研究では、ブーリアンネットワークに よるモデル化のもとで、ネットワークの同定に必要な実験回数の下限と上限を 理論的に導いた。
7. 13:50〜14:15 「正の例から極限同定可能な言語クラスの統一的拡張手法」
○山田 剛、富田悦次、若月光夫 (電気通信大学)
概要: 近年、比較的単純な言語クラスの拡張にあたるいくつかの言語クラスが 正の例から効率良く極限同定可能であるという報告もなされている。本稿では このような言語クラスを統一的に扱えるように、有限ワード集合を用いた言語 クラスの拡張を形式化し、拡張された言語クラスが正の例から極限同定可能で あるための十分条件と、その言語クラスに対する同定アルゴリズムを提唱する。
8. 14:15〜14:40 "Prediction like the best pruning of a decision tree based on the on-line DP"
○瀧本 英二, 丸岡 章 (東北大学), Volodya Vovk (Univ. of London)
概要: We give an on-line algorithm predicting as well as thebest pruning of a given decision tree based on the ideathat finding the best pruning can be efficiently solvedby dynamic programming in the batch setting.
休憩(10 分)
14:50〜16:20 <招待講演> 「発見科学の構想」
有川節夫氏(九州大学)
概要:発見科学という知能科学の新しい研究課題について,その構想や意義,展開法等について概説する。
休憩(10 分) 一般セッション I
9. 16:30〜16:55 「生物分類データと分子進化データを関係付けるための系統樹マッチング」
○北上始、森康真(広島市立大学)、太田聡史、斎藤成也(国立遺伝学研究所)
概要:生物の空間的情報を含む生物分類樹は分子生物学データベースからの知識発見等に欠かせない大規模な階層情報である。今回は、生物の空間情報と時間的情報 との間の相互関係を明らかにするために、生物分類樹と分子進化系統樹とをマッチ ングさせる方法を考察する。
10. 16:55〜17:20 「クラスタ例からの学習−分類対象集合の全体に関わる特徴の利用−」
○神嶌敏弘, 元吉文男 (電子技術総合研究所)
概要:分類対象集合とその集合に関する望ましい分割の組を学習事例として,同様の分類対象集合を分割する規則を学習する『クラスタ例からの学習』で,分割に含 まれるクラスタ数などの全体に関わる特徴を利用できるようにした.
11. 17:20〜17:45 「人工知能のための論理的枠組みについて」
月本 洋(東芝)
概要:数理論理学的枠組みが人工知能には向いていないことを述べ、人工知能のための記号処理(論理)の新しい枠組みを提示する。
18:00〜20:00 懇親会
【3月27日(金)】
一般セッション II
12. 10:20〜10:45 「アブダクションを用いたソート階層の修正」
○金井 貴(北陸先端科学技術大学院大学), 原口 誠(北海道大学), 國藤 進(北陸先端科学技術大学院大学)
概要:ソートを用いた推論では, ソート階層をあらかじめ与えるが, ソート階層を完全に定義するのは困難である. そこでアブダクションを用いてソート階層を修正する方法を提案する.
13. 10:45〜11:10 "Contradiction removal abduction for extended logic programs"
山崎 進 ○、加藤弘之 (岡山大学)
概要:拡張論理プログラムには、古典否定と失敗による否定が含まれ、一般論理プログラムのモデル論適用には限界がある。本稿では、プログラム変換を陽に行なわ ず、かつ得られる説明の間に矛盾がないように、アブダクティヴ手続きを改訂し、その正当性を論ずる。
14. 11:10〜11:35 「アクション言語を用いた状態変化の表現と推論に関する研究」
○鍋島 英知(豊橋技術科学大学), 井上 克已(神戸大学)
概要:非決定性有限オートマトンの観点から新しいアクション言語NAを提案する.NAは,非決定性効果や間接的効果をもつアクションを記述する ことができる.また,他のアクション言語の表現能力を形式的に解析する手段を提供する.
15. 11:35〜12:00 「アブダクションの逆伴意による実現と部分演繹法との等価性について」
○村上知子,古川康一,尾崎知伸(慶応義塾大学)
概要: 帰納学習において欠落した背景知識を補完する問題(アブダクション)は、逆伴意問題に帰着される。我々は、その欠落情報が最弱仮説の計算中に現れ、さらに 部分演繹計算の残差の中に現れることを明らかにした。
昼休み(60 分) 一般セッション III
16. 13:00〜13:25 「定性推論による物理式理解モデルの研究」
○ 跡見真児, 東条敏(北陸先端科学技術大学院大学)
概要:本稿では, 物理理論における微分方程式の直観的な理解を定性推論を用いて支援する方法を提案する. 人間は本来数値計算などを用いず,自然現象を理解する. したがって分方程式の表わす挙動を数値計算しない代わりに物理現象の因果関係などを定性的に表現した上で、それを図形データとして保持し,図形データを自然言語文で表現することを目標とする.
17. 13:25〜13:50 「強化学習によるオセロゲームの戦略の獲得」
○吉岡 琢、石井 信、伊藤 実(奈良先端科学技術大学院大学)
概要:本研究では強化学習によってオセロゲームの戦略を自動的に獲得する手法を提案する。ルール以外の知識を持たないコンピュータプレイヤー同士を多数回対戦 させることによって、両者はヒューリスティックな戦略を自動獲得する。
18. 13:50〜14:15 「危険回避行動知識獲得のための負の報酬分配法(続報)」
○寺田 賢二、國藤 進(北陸先端科学技術大学院大学)
概要:前回提案した負の報酬分配法を用いて、新たに得た実験結果を踏まえて、学習時の失敗数を中心に考察する。
休憩(10 分) 一般セッション IV
19. 14:25〜14:50 「背景知識の依存関係を利用した帰納論理学習」
○水谷匠, 杜小勇, 石井直宏 (名古屋工業大学)
概要:帰納論理プログラミングシステムの1つであるFOILシステムはノイズに弱いという欠点を持つ。本論文では背景知識の依存関係を利用し、ユーザーへの質問に よって事例を増やしていくことで、問題を解決する。
20. 14:50〜15:15 「底汎化法を用いた帰納推論システムの実装方式」
○伊藤公人、山本章博(北海道大学)
概要:底汎化法は山本によって与えられた推論方式であり,飽和法やアブダクションや相対包摂と密接に関係があること示されている.本稿では,底汎化法を用いた 帰納推論システムの実装方式について述べる.
21. 15:15〜15:40 「等式プログラミングにおける複雑化を用いた帰納推論」
○石野 明, 山本 章博 (北海道大学)
概要:等式プログラミングでの簡略化の逆にあたる複雑化という手法を導入し, 与えられた例から再帰的なプログラムを推論する手法について述べる.
休憩(10 分) 一般セッション V
22. 15:50〜16:15 「底汎化法はVn演算子より強力である」
山本 章博(北海道大学)
概要:帰納論理プログラミングにおける仮説生成手続きの一つである底汎化法について,それと類似性が指摘されたMuggletonのVn演算子との比較を行う.
23. 16:15〜16:40 「逆伴意における最弱仮説の完全化について」
古川康一(慶応義塾大学)
概要: Muggletonによって与えられた逆伴意における最弱仮説の計算法は、ある条件のもとでしか実際に最弱仮説とならないことが Yamamoto, Furukawa によって示 されたが、本論文では完全な最弱仮説を計算するアルゴリズムを与える。