第35回人工知能基礎論研究会(SIG-FAI)


今回の小特集テーマは「発見科学」でした。人工知能をベースとし急速に進展を遂げる発見科学パラダイムの掘り下げを求めて企画したものです。 招待講演としてPetr Hajek(Institute of Computer Science, Academy of Sciences, Czech Republic)をお招きし、特集題目21件と合わせ合計22件の発表となりました。参加者は57名以上という盛況となり、この分野への関心の深さが伺われる結果となりました。

I.概要

テーマ :小特集「発見科学」及び一般演題 +

     招待講演:Petr Hajek(Institute of Computer Science, Academy of Sciences, Czech Republic)

日時  :1998年12月17日(木)・18日(金)

場所  :九州大学 国際ホール

担当  :元田浩(主査)  E-mail: motoda@sanken.osaka-u.ac.jp

II.プログラム

【12月17日(木)】

セッション I 

1.10:00〜10:30

「2次元配置によるWebページ間の関係の視覚化」

○村田 剛志,沼尾 正行(東京工業大学)

概要:リンクに基づいてWebページ間の関係を視覚化するシステムについて述べる.

2.10:30〜11:00

「Ordered estimation of missing values for propositional learning」

○OSCAR ORTEGA LOBO, 沼尾 正行(東京工業大学)

概要:A new approach to fill missing values in a set of examples given to a decision tree learner is to be presented. The goodness of the approach will be shown through a comparison done against two other methods to fill missing values for propositional learning.

3.11:00〜11:30

「例外関係に着目した不完全知識の獲得システムの実装と実験的評価」

○高 秀幸,大原 剛三,馬場口 登,北橋 忠宏(大阪大学 産業科学研究所)

概要:ILPの一手法である逆伴意法を用いて,例外を生じさせるクラス間の関係に着目した知 識獲得手法を提案し,実験的評価を行う.

4.11:30〜12:00

「異なる仮説検証方略を持つ二つのシステムの協調的発見過程」

○三輪 和久(名古屋大学人間情報学研究科)

概要:異なる仮説検証方略を持つ二つのプロダクションシステムが協調的に数字間の規則性 を発見する過程を検討する.

昼食(60分)

セッション II

5.13:00〜14:30

<招待講演>「On logics for data mining」

Petr Hajek (Institute of Computer Science, Academy of Sciences Czech Republic)

Abstract: We shall present monadic observational predicate calculi [1] as logics for formulating, generating and verifying statements on dependences, associations etc. in the data. we shall stress logical properties (questions of axiomatiz- ability, decidability etc.). First we shall deal with two-valued systems (each sentence is true or false in the data); then we shall present a more general fuzzy approach (based formally on [2]), formulate some basic results and offer a variety of open problems. Relation to the GUHA method of automated generation of hypotheses will be mentioned. [1] P. Hajek, T. Havranek: Mechanizing Hypothesis Formation, Springer-Verlag 1978. [2] P. Hajek: Metamathematics of Fuzzy Logic, Kluwer 1998.

休憩(15分)

セッション III

6.14:45〜15:15

「帰納等式プログラミングにおける複雑化を用いた推論システムの実装」

○石野 明,山本 章博(北海道大学工学部電子情報工学専攻)

概要:帰納等式プログラミングの定式化と再帰的なプログラムの具体的な推論手法を与え, その実装について述べる.

7.15:15〜15:45

「拡張逆伴意法に基づく発想的帰納推論システムの実現」

○尾崎 知伸,古川 康一(慶応義塾大学大学院 政策・メディア研究科)

概要:本稿では、同一述語が複数個所で欠落している場合の、発想的帰納推論システムの実 現について考察する.

休憩(15分)

セッション IV

8.16:00〜16:30

「複雑な分子スペクトルの新しい解析手法の探索」

○田中 武彦,今城 尚志(九州大学大学院理学研究科)

概要:従来の手法では困難な複雑な分子スペクトルの解析を助けるための新しい手法の探索 について報告する.

9.16:30〜17:00

「ニューラルネット法則発見法の大規模データへの適用性」

○中野 良平,斉藤 和巳(NTT)

概要:ニューラルネットを用いて数値データから多項式型法則を発見するRF5法の大規模デー タへの適用性を検討する.

10.17:00〜17:30

「第一原理法則式発見システムの実装について」

○鷲尾 隆,元田 浩(大阪大学 産業科学研究所)

概要:実験データから第一原理法則式を発見するシステムを開発している.その数値処理等 に関する実装について報告する.

懇親会 17:45〜

【12月18日(金)】

セッション V

11.9:30〜10:00

「分割エントロピーを最小化する論理積の計算方法について」

○森下 真一 (東京大学)

概要:分割エントロピーを最小化する論理積の計算について考察し,その計算量を示す.

12.10:00〜10:30

「バイアスを探索する知識発見システムの構築と評価」

○酢山 明弘,根岸 直矢(静岡大学理工学研究科),橘 恵昭(愛媛大学法文学部),

 山口 高平(静岡大学情報学部)

概要:ユーザの要求に合わせて, 最適な学習システムを自動的に構築する環境CAMLETに関す る報告を行う.

13.10:30〜11:00

「ウェーブレットとエントロピー最大化学習による隠蔽画像の発見」

◯新島 耕一,赤沼 大我,高野 茂(九州大学大学院システム情報科学研究科)

概要:本論文では,ウェーブレットとエントロピー最大化学習を用いて隠蔽画像を発見する 方法について述べる.

休憩(15分)

セッション VI

14.11:15〜11:45

「低高度周回人工衛星によって観測された空間系列データの自動特徴抽出」

◯樋口 知之(統計数理研)

概要:地球の大規模電流系の自動同定・分類のために,可変節点リニアスプライン関数を観 測磁場データに自動的に当てはめる手続きを開発した.

15.11:45〜12:15

「太陽地球系物理学への知識発見の応用」

○荒木 徹(京都大学大学院理学研究科地球物 理学教室),家森 俊彦,亀井 豊永(京都大学大学院理学研究科地磁気世界資料解析セ ンター)

概要:地球の電離層・磁気圏や惑星間空間で生じる電磁気的現象の解析への知識発見的手法のの適用について述べる.

昼食(60分)

セッション VII

16.13:15〜13:45

「機械学習と知識収集の関係に関する1考察」

○吉田 健一(日立製作所 システム開発研究所)

概要:機械学習の1手法と知識収集の1手法を比較し両者の関係を考察する.

17.13:45〜14:15

「経営データにおけるデータマイニング基礎技術の開発、ならびに戦略的活用について」

○矢田 勝俊(大阪産業大学経営学部),加藤 直樹(京都大学大学院工学研究科),

 羽室 行信(大阪産業大学経営学部)

概要:データマイニングを応用し,ビジネスにおいて利益に結びつけているG&Gファルマのケ ースを取り上げる.

18.14:15〜14:45

「雑音下の繰り込み可能性の安定性について」

○長谷川 博,大滝 由一(茨城大学理学部数理科学科)

概要:数理モデルが複雑な現象を記述するためには,系の微細な性質によらない繰り込み可 能性が必要である.

休憩(15分)

セッション VIII

19.15:00〜15:30

「知識発見システムのためのView Designer」

丸山 修(東大),内田 智之(広島市大),正代 隆義(九大),◯宮野 悟(東大)

概要:データ上のviewという新たな概念に基づく知識発見システムの実働化と実験について 発表する.

20.15:30〜16:00

「複数の人間の間の概念相違発見手法の高速化の検討」

○西田 正吾,吉田 哲也,裏谷 治(大阪大学大学院基礎工学研究科),

 近藤 輝幸(三菱重工業)

概要:大規模データベースへの適用を前提に,複数の人間の間に存在する概念相違発見手法 の高速化の検討を行う.

21.16:00〜16:30

「離散型HMnetを用いた日本語文法構造の自動獲得」

鈴木 基之,○牧野 正三(東北大学大型計算機センター/大学院情報科学研究科)

概要:巨大データベースから文法構造を自動的に獲得するアルゴリズムを提案し,実際の文 章に適用した結果について考察する.

22. 16:30〜17:00

「仮想化された人体データからのナビゲーションに基づく知識発見」

○齋藤豊文(名古屋大学難処理人工物研究センター)

 森 健策,鳥脇純一郎(名古屋大学大学院工学研究科)

概要:X線CTなどによる人体の3次元像の内部を自由に移動しつつ人体データから知識発 見を行う手法について考察する.


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