第30回人工知能基礎論研究会(SIG-FAI)


小特集「ポストエージェント」の招待講演に加えて,16件の応募があり9月29日(月)午後〜30日(火)午後にかけて,質疑を含め一件25分のスケジュールで行われた.申し込み件数が多かったため1件の持ち時間が少な目だったことが悔やまれるが,小特集以外にも多方面から充実した内容の発表があった.聴講者を含む参加人数も40名に達し,活発な質疑・討論が行われた.招待講演,懇親会にも多数の方が参加され,全体としてActivityの高い研究会となった。

I.概要

テーマ :一般演題及び小特集「ポストエージェント」

日時  :1997年9月29日(月),30日(火)

場所  :大阪大学 産業科学研究所 〒567 大阪府茨木市美穂ヶ丘8-1 TEL 06-879-8541

担当幹事:鷲尾 隆 E-mail: washio@sanken.osaka-u.ac.jp

II.プログラム

【9月29日(月)】

小特集「ポストエージェント」セッション I

1.13:00〜13:25 「連続値入出力を扱うファジィ内挿型Q-Learningの拡張と効率化の試み」

   ○堀内 匡(大阪大学),藤野 昭典(NTT),片井 修,椹木 哲夫(京都大学)

   概要:ファジィ推論を導入した強化学習に対して,学習能力の拡張と

      効率化を図る試みについて報告を行なう.

2.13:25〜13:50 「危険回避行動知識獲得のための負の報酬分配法」

   ○寺田 賢二,國藤 進(北陸先端科学技術大学院大学)

   概要:経験強化型学習における負の報酬分配法を提案し,学習主体の

      失敗数,学習効率,適応能力について考察する.

3.13:50〜14:15 「島モデル並列GAにおける部分集団間の相互作用」

   ○堀井 宏祐,國藤 進,松澤 照男(北陸先端科学技術大学院大学)

   概要:移住操作による部分集団間の相互作用を考察し,

      より効果的な移住方法,集団構成の提案を行う.

4.14:15〜14:40 「自律エージェントのための状況認識と行動規則の同時学習」

   ○上野 敦志(奈良先端科学技術大学院大学),堀 浩一,中須賀 真一(東京大学 工学部)

   概要:環境からの報酬に基づいて,状態空間を自律的に

      分節する認知行動システムを構築する。

休憩(10分)

小特集「ポストエージェント」セッション II

5.14:50〜15:15 「ポストエージェントとしての操作的オーガニゼーション指向モデルの可能性」

   ◯岡田 勇、太田 敏澄(電気通信大学 大学院情報システム学研究科)

   概要:社会情報システムにおける本モデルの役割について,目的/対象/

      方法論的分類と哲学、社会学的検討を行う.

6.15:15〜15:40 「妥協を必要とするシステムにおける合意形成」

   ◯岡 雄三(工学院大学 工学部),兒玉 光弘(桐蔭学園横浜大学 法学部)

   概要:意見が対立するため具体的な行動に移れないケースで妥協による

      問題解決とその処理法について考察する.

7.15:40〜16:05 「学習エージェントを用いた協調学習に関する考察」

   ○寺邊 正大(三菱総研),片井 修,椹木 哲夫(京都大学), 鷲尾 隆,元田 浩(大阪大学)

   概要:学習機構をもつエージェントにより学習主体のモデル化を行い,複数主体に

      よる協調学習に関する特徴に関して解析を行った結果 について報告する.

休憩(10分)

8.16:15〜17:45

<招待講演>「知識コミュニティにおける人間の知識共有の支援」

      西田 豊明 氏(奈良先端科学技術大学院大学)

   概要:人間の知識共有という視点から,コミュニティの知的活動支援

      に関する取り組みの現状を紹介し,展望を示す.

懇親会 (18:00〜)

【9月30日(火)】

一般セッション I

9.9:30〜9:55 「実世界知能をめざして(I)-記号的人工知能の限界について-」

   ○月本 洋、(東芝)

   概要:記号的人工知能の限界を,意味の理解,イメージ,想像等に

      焦点を当て,脳科学の成果も用いて考察する.

10.9:55〜10:20 「実世界知能をめざして(II)-メタファーに基づく人工知能-」

   ○月本 洋、(株式会社 東芝)

   概要:記号的人工知能から実世界知能に移行するには,メタファー

      に基づく人工知能が必要であることを述べる.

11.10:20〜10:45 「複数方程式系の第一原理発見に関する考察」

   ○鷲尾 隆,元田 浩(大阪大学 産業科学研究所)

   概要:複数方程式で記述される対象に関する実験系から

      第一原理モデルを発見する手法を論じる.

休憩(10分)

一般セッション II

12.10:55〜11:20 「全ユニモジュラ性と等価な制約構造に関する閉路積に基づく定理」

   ○大澤 幸生,谷内田 正彦(大阪大学 大学院基礎工学研究科)

   概要:全ユニモジュラな0-1整数計画問題は,多項式時間で解が得られる.しかし,

      全ユニモジュラな0-1整数計画問題を,与えられ た問題の制約構造から特徴

      づけることは,離散数学の未解決問 題であった.筆者らは,これまでに発表

      した「閉路積」を用いてこの未解決問題の解決に成功したので,その成果を

      報告する.

13.11:20〜11:45 「完全/不完全知識の再構成のための知識コンバージョン」

   ○桂田 浩一,大原 剛三,馬場口 登,北橋 忠宏(大阪大学 産業科学研究所)

   概要:例外を許容する不完全知識の存在下において,推論結果が

      変化しない事を条件とする知識変換の方法を提案する.

14.11:45〜12:10 「経験に基づく戦略知識による計画型問題の効率化手法」

   ○森本 真一,今成 文明,小川 均(立命館大学)

   概要:計画型問題解決の効率化のための,競合解消戦略知識の

      経験に基づいた獲得手法を提案する.

昼食(60分)

一般セッション III

15.13:10〜13:35 「情報の社会的評価と個人的評価を同時に獲得するフィルタリングシステム」

   ◯横山 甲,沼尾 正行(東京工業大学)

   概要:情報に対する社会的評価と個人的評価を同時に獲得し,

      フィルタリングを行なうシステムを構築した.

16.13:35〜14:00 「文脈情報を利用したブラウジング支援 -Context-Sensitive Filtering-」

   ○野本 豊裕、松田 憲幸、平嶋 宗、豊田 順一(大阪大学 産業科学研究所)

   概要:ユーザの興味が変わりうるブラウジングを支援するための手法

      を提案し,その実装と実験的評価を実施した.

17.14:00〜14:25 「概念体系を用いたFish Eyeベクトルの情報整理支援ツールへの応用」

   ◯高間 康史,石塚 満(東京大学 工学部)

   概要:ユーザの視点を反映したマッチング機構であるFish Eyeベクトル

      を用いた情報整理支援ツールを紹介する.


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